■仔狐月 いろいろ 

換毛期

  何気につまんでひっぱったら毛が抜けてびっくりの仔狐月
  季節で生え換わるなんて知らないのです
  面白がってひっぱっていたのですが だんだん心配になってきました


  とりあえずLに相談です


  Lも抜けてびっくり!
  ますます心配になる月なのです


  その時枯れ葉が一枚…
  賢い2匹はなにかひらめいたようです


  どうやら変わったことが起こっているのは自分たちの体だけではなさそうです


  あ あれはあの時の…


  抜けちゃうんです
  大丈夫ですか?


  促されるままひっぱってみます


  いっぱい抜けた!


  抜けてもいいんだ!
  安心しました
  深々とお辞儀してさようなら


  もう抜けても怖くありません
  お互いひっぱりっこしたり…


  くすぐりあいっこしたり…


  抜けた毛を交換して大事に持って帰りました
  一緒にいるとなんでもいい思い出になります



  ■その後の2匹

  生え換わり完了
  あんまり変わったように見えないけれど ふかふかの冬毛になりました


  下毛がみっちりでぬっくぬくです




  すっかり雪も溶けて 山のさくらも咲きました
  八重桜の花びらがはらりはらりと散っています


  取っても取っても鼻にひっついて気もそぞろです




  赤ちゃん狐たちです みゅーみゅー言ってます


  みんなでみゅーみゅー言ってるうちに寝てしまいました
  赤ちゃんなので少し起きているとすぐ眠くなるのです


  みんなでくっつきあって眠るので 
  一匹がもそもそ動くとお隣の仔に伝わっていきます


  一匹がもそもそしてそれがお隣の仔に伝わり 
  そのまたお隣の仔ももそもそします
  みんなでもそもそみゅーみゅーします
  でもそんな中熟睡する仔もいます
  小さくても個性があるのです




  兄弟の巣穴の外にお客さんがきました
  気付いたのは月です
  何だろうと思って見ています


  外の世界に興味津津の赤ちゃん狐たちです
  たくさんの瞳に見つめられて カエルのほうがびっくりしています





  一緒にくっついて寝ていても なんだか不穏な夢をみることもあるのです


  おもわず悲しげなつぶやきが漏れてしまうこともあります


  そんなときLがそっとなでてくれます
  月は安心してまた眠ります





  みっちりした冬毛からスカスカの夏毛にかわるので
  それはもう豪勢に抜けます お祭りです





  もしも照狼が月の兄弟の保父さんだったら
  みんなでせんせいのとりあいです





  月とLが秘密の涼しい洞窟を知っているように
  狼照も夏を過ごすのにいい場所を知っています
  体力もあり足も丈夫な照はどんどん高いところに登っていきます


  お気に入りの場所にたどりついた照は腰をおろします
  ここに来る前におなかいっぱい魚を食べてきたので
  数日はこうして涼んでいくつもりです


  遠くの山の ちょっと仔狐月っぽい雪形がよく見える特等席です





  グラビアポーズ





  野生の生き物にとってクリスマスやお正月は
  ただの冬の一日です
  雪の野原や森を元気にかけまわります





  水たまりにしっぽを漬けて…


  しっぽに含ませた水をこぼさないように慎重に運びます


  晴れの日が続いたときはこうやって果樹園に水やりをするのです



■初雪

  ある朝のこと 目を覚ました月は不思議なにおいに気が付きます
  鼻の奥がつんとするような すーすーするような 不思議なにおいです


  わぁお!


  おもわず後ずさりです
  昨日まで普通だったのに とにかく落ち着かなくては


  Lに相談するにしても これの上を歩いていかなければいけません
  気を取り直して まずは匂いを嗅いでみます


  匂いは大丈夫そうなので 触ってみます 冷たい!でもやわらかい!


  ちゃんといつもの地面が中に入ってることを発見しました


  きしきしと不思議な歩き心地です
  目的地はもちろんLの巣穴です


  Lもまっすぐ月のところに来る途中だったようです


  お互いハイテンションで駆け寄ります
  何もかもまっしろに変わってしまった中で いつもどおりの顔に会えてちょっとほっとします


  実の種をせっせと植えた果樹園もまっしろです


  苗はちゃんと中に入っていました 元気そうです


  安心したので 男の子らしい元気な遊びがはじまりました


  遠くから飛んできた何かが木にぶつかって弾けました


  飛んできたのは雪玉 照狼からの遊びのお誘いでした


  実の配達で鍛えたおかげで 月が一番上手です


  雪合戦に続いて雪山つくりをしていましたが 雪が降り出しました
  これがたくさん集まったせいで全部真白になったんだ!と納得です


  そろそろ遊びはおしまいにして巣穴に引き上げた方がよさそうです
  やっぱりクールに去る照狼でした


  入口の広いLの巣穴にたくさん雪が降り込んでいます


  狸は穴掘りが苦手なので ちょうどいい具合の巣を作ることができません
  枯草は敷いてあるものの さすがに寒そうです


  一回さよならしたのに また連れ出されて
  まだ遊ぶのかと不思議そうなLです


  月が自分で掘った自慢の巣穴にご招待


  狭いけれど居心地は満点です 冷たい風もここまでは入ってきません


  朝から大興奮でたくさん遊びました くっつきあっておやすみなさい
 あったかいしやわらかいし 寒い間はこうして一緒にすごそうと決めた月とLでした


■春いちばん

  ある日のこと 昨日までの冷たい風とは全く違う あたたかい強い風が吹きました
  冷たい風はめったに巣穴の中には吹き込まないのに
  そのあたたかい風はびゅうびゅう吹き込んで 枯草を巻きあげていくのです
  仔狐月と仔狸Lはびっくりしたように外の様子をうかがっています


  風にあおられてよろめきながら いつも風が吹く丘までやってきました
  思ったとおりひときわ強い風で 気合を入れていないと転びそうです


  しっぽの毛を立てて めいっぱいふくらませます


  大きな風のひと吹きにあわせて…
  今だ!


  地面を力いっぱい蹴るといつもよりうんと高く飛べました!


  ふんわり着地 一面の枯草がやさしく受け止めてくれます


  これはおもしろい!


  今度は どっちが高く飛べるか競争です
  それぞれ 高く跳べそうな気がするポーズで 強い風のひと吹きを待ちます


  突風にあおられて空中キッス!


  痛くはなかったけど びっくりして照れる月
  ジャンプ競争はやりなおし?


  いつもはなんでもあまり気にしないたちのLですが
  今日はなんだか様子が変


  Lがきゅーんといいました
  いままでLの声を聞いたことがなかった月はびっくりです

  ぎょんぎょん鳴く狐と違って 狸はあまり声を出して鳴かないんだそうです
  でも発情期には「くーん」「きゅーん」と優しく鳴くんだそうです


  Lの声は小さくてやさしくて
  もっとききたいような
  どきどきするような
  恥ずかしいような
  とっても不思議な気持ちです


  強い風は恋の季節も運んできたようです



■仔狸Lの巣穴   

  低いところをひらひら飛ぶ蝶に夢中です


  蝶だけ見てふらふらと追いかけていたら 懐かしい場所にたどり着きました
  仔狸Lの巣穴です


  久しぶりの巣穴です 仔狸Lが覗きこんでいます


  以前のように普通に入ろうとしたら しこたま頭をぶつけてしまいました


  そんなに痛くはなかったものの不思議そうなL
  巣穴が小さくなった?


  あっ また蝶が来ました


  また一緒においかけて行きました
  世界は不思議なことやびっくりすることに満ちていて
  前はそのたびに不安になったり怖気づいたりしたけど
  そのたびに2匹で乗り越えてきたので なにかあってもあんまり気にしなくなってきたのです
  自分たちが少し大きくなったことに気づくのは もう少し先のようです



■おじゃまします  

  仔狐月と仔狸Lが人間の家にやってきたら

  たとえばの話なので 
  つかまっちゃうんじゃないかとか 
  電化製品やガラスでケガするんじゃないかとか
  そういう心配はいりません


  とりあえず他の狐や狸のにおいはしないようです


  ひととおり見て回った後 カーテンひっぱってみたり…


  土を見るとつい掘りたくなります


  いつも冷静なLがただならぬ様子で月を呼んでいます
  何事でしょうか


  Lが見つけたのは果物かごでした
  みたこともない大きな実にびっくり


  やはり安全なところで落ち着いて食べたいので
  お持ち帰り決定です


  正体はわからないけど 野生の勘が「それもたべものだよ」と訴えています


  持って帰って 食べられるかどうかゆっくり調べることにします
  まだほかにもいいものがあるか捜索開始です
  かしこい2匹ですが さすがに冷蔵庫には気づきません


  せっかく見つけたおいもさんですが
  籠にはもう入りそうにありません
  困った


  ソファーのカバーに包んで持って帰りました



■予感   

  最近月もLもなんだか落ち着かないのです
  気がつくと毛づくろいばかりしています
  毛づくろいをすると落ち着くはずなのですが
  やってもやってもなんだかもやもやした気分です


  なぜかしっぽが勝手にふくらんでいるのです
  自分でふくらまそうとしていないのに
  こんなことははじめてです


  アリまでがせわしない様子です
  あちこちでこんなふうに行列ができています


  水飲み場の小さな湧水も水位が下がって濁ってしまっています
  とにかくいろいろなことがヘンなのです


  こんなときは狼照に相談です
  ところが照にもわからないのです
  照のしっぽもぶわっとなっています


  巣穴でおとなしくしているのがいいかもしれません


  巣穴の中でもやっぱり毛づくろいです
  月もLもどこかうわのそらで おなじところばかりをつついています


  不気味な音まで聞こえてきました


  ゆ ゆれてる!!!


  とっさにかばってくれたLの上に土が落ちてきます


  やっと静かになりました
  巣穴の中はまっくらです


  小さな土砂崩れのせいで入口が埋まってしまいました


  大きく崩れたのは出入り口だけのようです
  脱出するために 穴掘りの得意な月が掘り始めました


  月が掘りやすいように Lは土をうしろにどけます


  あ!


  心配して様子をみにきたのでしょう
  照が外からも掘っていました


  照の手助けもありなんとか脱出できました


  無事を喜び合います


  その夜は照のうちに入れてもらいました
  大きな木のうろなので揺れても安心です


  岩でできている丈夫なLの巣穴に引っ越しすることになりました
  お世話になった照に感謝です


  しばらくは聞きなれない音を聞いたりすると
  あわてて外に走り出すくせがついた2匹なのでした



■おまけ

  地震の時とても世話になった照のところへ
  あらためてお礼しにいくことにしました


  お留守なので入口のところに置いておくことにしました


  出かけていた照が帰ってきて 
  桔梗の花と何か葉っぱの包みを見つけました


  サワガニが2つ入っていました
  月がひとつ Lがひとつ捕まえたものでしょう
  おやつにおいしく食べた照でした



■赤とんぼ  

  赤とんぼが飛んできました


  月のしっぽにとまりました


  Lもしっぽを立ててみました
  止まるかな?


  とんぼはいってしまいました
  とがったところに止まるのが好きなのです


  しっぽの毛をくわえて…


  こんどはとまるかな?


  止まりました
  Lよかったね!



■ひっこししました   

  狼照のところへひっこしのおしらせにきた狐月と狸L
  どうやらお留守のようです


  どうにかして新居の場所を照に伝えたいのです
  もみじの葉と小石を拾って…


  でかけていた照がかえってきました
  入口に何かおいてあります


  てんてんと置かれたもみじをたどって進みます


  もみじの道しるべの途中で会うことができました


  ここから先はみんないっしょに


  新しい巣穴に到着
  照も理解したようです


  照は大きいので入れません
  月が中で食料庫を見せたりしています


  以後よろしくおねがいします


  もと来た道を帰る途中 Lがしがみついていた木をみあげると


  照がもう一度Lと月に会いに戻ってみると
  2つの小さな寝息がきこえてきました


  夢うつつの月 なにかが手に触りました


  無意識にたぐりよせます


  目が覚めたら目の前にぶどうがあってびっくり


  照からの引っ越し祝いでした



■スケート  

  狼照が凍った池につれてきてくれました


  凍った池の上を歩くのははじめての狐月と狸Lを
  照がやさしくフォロー


  つるつるだ!


  そこはやっぱり月とL
  しばらく練習したらなんとか動けるようになりました


  照が大技を披露!


  さっそくジャンプと回転の練習です
  もうすぐ春ですが 負けず嫌いのLと月はきっと
  氷が解けるまでに上手にできるようになるでしょう



■温泉

  凍った池でのスケートの後 一緒に温泉へいくことになりました


  行く途中 くだんの実を見つけました


  あれはなかなかくわせもんだよ食べるとこうなっちゃうよって
  照に教えています


  やっぱり中に入るにはちょっと熱いのです


  また雪玉でも放り込もうと思っていたら
  照があっちにいってしまいました
  どうしたのでしょう


  岩陰にまわりこんで見えなくなった照のところから
  バキッと音が聞こえてきました


  大きなつららを3つ持って帰ってきました


  つららのおかげでいい温度になりました